夢のつづき


もう今から25年ほど前になるが、中型車で中・長距離ドライバーを10年ほどやっていた。年に数回はハンドルを握っている夢を見る。夢というのは通常起きたらすぐ忘れるものだ。しかし昨夜見た夢が頭から離れないので書き留めておこうと思う。

夢の冒頭は、車庫から始まった。朝一番に帰り便の荷を降ろし、仕事待ちの状態で休憩していた。ところが、ふと横を見ると数枚の配達伝票がある。荷台を見ると荷物も積んである。数件の市内配達で私が苦手とする地場巡りだ。伝票によると配達指定時間はとっくに過ぎている。

「嘘だろおい!」

と思いながらも積んである荷物と伝票の内容を確認する。すると積んでいない荷の伝票がある。どうもこのコースでは無い全く別地点の伝票のようだ。これはヤバい。荷は出荷先で積み込み待ち、伝票は私が持ち出している。早く配達を終え元に戻さねば!その事について電話で報告するという考えはよぎらなかった。とにかく急がねば。慌てて車庫を出ようとするも毎日出入りしているはずの道が分からない。右だっけ?左だっけ?とりあえず左へ数キロ走ってみる。どんどん道幅が狭くなり、やがて行けなくなった。はう……。細い通路をバックで戻り、なんとか方向転換できる場所まで引き返せた。そこは広い駐車場で自分の会社(実在する会社では無い)の第二車庫だった。

「これならグルッと回りゃ一発で行けるな」

などと考えるも、起きて考えてみりゃバックで戻ってきてんのにそのまま頭から出ればいい話。まぁ夢なので深く考えない。で、一発でグルッと回ろうとすると横の車が急に前をふさぎやがる。ムカっと来たが同僚の車なので我慢し、先を譲った。続いて出ようとするとまた別の車が急発進し前をふさぐ。またか……。もういいや、と思いコイツにも先を譲り元に居た車庫の前を通り過ぎる。やっとの思いで市道にでるが、昼間なので大渋滞している。

「これだから地場回りは嫌なんだよ……」

と思ってるとワンマンのはずが、助手席に実際に仲の良かった同僚が座っている。久しぶりに話し込んでいると何故だか息苦しくなってきた。季節は真冬だったので窓を開けてもいいかと尋ねた。その時に息苦しい原因がわかった。助手席が対面にあるじゃねぇか!しかもキャビンの幅がクレーン車のコクピットのように一人分しかねぇぞ!助手席が対面で前見えないしどうなってんだ!と言うところで目が覚めた。

夢というのは変なものだ。一度起きたし、もう見ることは無いだろうと思い、そのまま二度寝に入った。ところが夢は配達の続きから始まった……。今度はどこかの工場内にいる。配達先かな?と思い看板を見ると違う場所だった。近くに居た人に伝票の住所と地図を見せて道を尋ねる。相手は何故か、漫才コンビ「スピードワゴン」の小沢一敬だった。こっちは道を尋ねてるのに小沢は、やたらタイヤについてウンチクを並べ立てている。地図を見ると左ページがタイヤのカタログになっていた。タイヤのセールスマンの如くお勧めしている小沢にイラッとしたのが顔に出たのか、急に

「いや、ぼ、僕、地元じゃないんで詳しく無いんですよ。でもこの住所ならこちら側の一画で間違いないと思います」

と言いそそくさと逃げていってしまった。(小沢さんゴメンナサイ)気を取り直し、伝票と地図をもう一度見る。伝票に印刷してある住所がローマ字に変わっていた。地図の目次や索引も無くなっている。イライラしながらさっきまで見てたページを探し出す。A3もある大判の地図なのに縮小されて詳細な住所がわからなくなっていた。それでも地図を凝視してると一本の道にオレンジの色がつき始めた。その道を辿ると目的の社名が載っているではないか。これだ!と思ったところで、また目が覚めた。

……疲れてしまった。睡眠はとっているのに。ここでトイレに行って現実の気を取りなおそうとする。そういやスピードワゴンって最近見かけないな。などと考えながら流石にもう続きを見る事はないだろう、だいたい夢の続きを見ることなんて早々あるもんじゃない。もしかしてさっき起きたと思ったのはそれも夢の中だったのか?あれやこれやと考えつつ、眠たいのでもう一度寝ることにした。

まさかの続きからだった。スピードワゴンの小沢さんが居た工場の門を出ようとするところだ。地図通りに行けば、この正門を右に折れ、鋭角になっている横道に入り、後は道なりに行けば辿り着く。この鋭角な曲がり角は30度ほどあり、何回か切り返さないと曲がりきれない。道幅は中型車の幅ギリギリだ。本当にこんな狭い道の先にあるのかな?と疑問に思いつつも行かなければ分からない。なんとか曲がりきってトロトロと徐行で進んでいると袋小路になっていて行き止まりになった。道は大きな工場の敷地内にある専用道路で運転席側の外を見るとその工場の正門があり、門の前の道が目的の道だったようだ。しかし門を抜けるには、スーツ姿で往来している社員さんの間を割って通らねばならない。トラックが通るような場所ではないのだ。だが、引き返している時間は無い。頭をペコペコ下げ、訝しげに見ている大勢の視線を尻目にその場を抜けようとする。そこへ守衛が文句を言いたげに走って来た。面倒くさいので見えてないフリをして門を出る。

「なんなんだろうなぁ?なんでこんな思いしてんだろ?そうだ!これは夢だ!」

夢の中で夢だという事に気づき力づくで夢から覚めた。何のオチも付かなかったけど、もう寝ない。起きてるぞ。ただ、配達を一件も完了しなかった事に、いささか悔いが残るが、夢の中の仕事に満足しても意味がない。ましてや好きでもない仕事内容である。それよりも今夜は癒される夢が見られるよう祈ろう。

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